少子化や衛生管理の進歩により、病院に来院する小児患者の数は減少したといわれている。学校や保育園など児童や生徒を預かる施設では感染症対策なども進み、子どもの風邪が大流行することも少なくなってきた。また、小児科は一般的な診療科より多くの医師と看護師が必要なため、病院の経営面で負担となることもある。そのため、小児科病院の数は減りつつあるといえるだろう。特に、地方の小児科の減少は著しい。
しかしながら、減っている小児患者は軽症のケースが多く、重症患者の数は減っていない。むしろ、人工呼吸器や胃ろう等の治療を必要とする低出生体重児や重症新生児の数は増加している。このような小児患者は医療的ケア児と呼ばれており、在宅看護しているケースが多い。医療技術の進歩により、医療的ケア児は入院しなくても自宅で治療を受けられるようになったからだ。国の政策により、病床数を減らすために早期退院が推奨され、従来より早く退院して在宅医療に切り替える小児患者も増えてきた。医療的ケア児を介護するのは家族が中心となるが、訪問看護などの医療サービスが欠かせない。
また、退院後の療養について家族が看護師に相談できる看護専門外来も医療的ケア児の診療を支えている。在宅の医療的ケア児を家族が看られないときや重篤化した場合には、レスパイト入院といって一時的に医療的ケア児を病院に受け入れる体制も必要である。医療機関はレスパイト入院に備え、一定数の病床を確保しておかなければならない。